年代鑑定

B.C.Richのシリアルナンバーは74年以降のU.S製ハンドメイドについて5桁の数字で記されている。74年の1本目のギターは74000から始まっている。とされているが、実際に5桁シリアルとして確認されているのは76000のシーガルダブルネック以降である。それ以前は6桁のシリアルのものしか確認されていない。主にシーガルとアコースティックが該当する。最初の一桁が製造年末尾、次の二桁が製造月、その後三桁が製造番号を表している。76年以降の5桁シリアルの場合、この方法で考えれば、79年製の1本目は79000になるはずであるが実際には年間1000本以上製造されているためシリアルナンバーが実際の年代よりも数年先になっている。例えば、87688のMockingbirdは83年製であり、82369のMockingbirdは79年製であることが確認されている。70年代後半から製造本数が増えたため、80年までにシリアルナンバーは2〜3年先に進んでいた。Bichの場合、最初の数十本は"BICH XX"という形式のシリアルになっており、その後78年製の80XXXも頭にBICHと刻印されている。試作品はPROTO 82.9のように製造年月が入っている。一部ショーモデルにはFRUNKFURT 82等のショー、開催年が刻印されているものもある。また、シリアルがなく、ピックアップキャビティに日付けが記されているものもある。

現在まで確認されているシリアルと製造年の関係は以下の通 り。

77438 1977/10/13製造
80219 1978/夏購入
8023x 1978/9/29製造

82369 1979製造
82744 ここから80年製らしい
83100 1980/6/26製造
83242 1980/8 購入
83345 1980/8/13製造
83605 1980/9/25製造
83684 1980/10/21製造
83755 1980/10/23製造
83765 1980/10/24製造
83901 1980/11/25製造
83924 1980/12/3製造
83966 1980/12/12製造
84213 1981/1/29製造
84626 1981/4/14製造
84935 1981/8/20製造
85542 1982最初のシリアル
85612 1982/1/21製造
86194 1982/6/18製造
86742 1982/11/17製造
86986 1983/1/21製造
87688 1983年製造
88151 1984/1/18製造
88273 1984/2/29製造
88907 1984/8/31製造
89570 1985年製造
90248 1987/6/1製造
90444 1987/6/1製造
1989から1993はClass Axe
94004 1994/11/16製造

これらの記録は全てB.C.Rich本社に保存されている。Hand Made in U.S.A以外のモデルについては数年前の洪水により記録が消失している。始めがアルファベットから始まるモデルはインポートもの、もしくは最終工程のみU.Sで行われ、前工程は韓国で行われた量 産品である。このシリアルナンバーはモデル別に別れてはおらず、全部とおしでふられている。76000のギターがモデル別 に複数存在することはない。年間を通してスルーネックB.C.Richは2200本をこえて製造されることはなかった。76年から80年までで約7300本が製造され、そのうちベースは15%ほどであった。ダブルネックはごく少数生産されている。 76000から始まる数本はSeagull ダブルネックだったと思われる。BICH 4のシリアルもBICHダブルネックである。その後79年にも35本程度BICHのダブルネックは製造されている。

 

一方、シリアル毎に多い仕様の特徴もある。

76XXX 赤ピンスイッチ、ペグはオールドインペリアル。Front PUはSD。エスカッション黒、タップは一つ。Hi-A optionは76XXXのみ。
77XXX 途中からタップ二つに変更。ペグは渦巻きバックのインペリアルに変更。赤ピンなしのものも78XXXと混在。
78XXX エスカッション白に変更。Front PUはPAFが採用され始める。
80XXX ロッドカバーが一点留め。
81XXX ストレートロゴが採用されはじめる。

83XXX 途中からQuadmatic採用。ロッドカバーは途中からブラスが混在。ストライプ間隔がかなり広い。
85XXX ノブ変更。ブラスエスカッション混在。
86XXX シャーラー製ペグが大量に使用されている。
88XXX インペリアルぺグは裏の渦巻きがなくなる。

楽器店で製造年が明記されている場合、大抵は頭2桁のシリアルナンバーから判断している。81638であれば81年製として表示されている。これは間違いである。実際に購入する際はこの辺を考慮した方がよい。実際の年代は数年前である。


 

2006/May/2更新

当時B.C.Richで生産管理等のオフィスワークに携わっていたMal Stichによると、1976年から彼が去る1984年までのU.S.A handmadeの生産本数は下記の通りとなる。

1976年:約300本。この年、Brooklyn AvenueにあったBernardo's Guitar ShopからVally Blvdに移転し、B.C.Rich Guitar Companyと正式に改名した。

1977年:約500~600本
1978年:月産約60本。年間で約700本
1979年:月産約100本
1980年:月産約120本
1981年〜1984年:この期間が生産本数のピークとなる。CaliforniaのEl Monteショップ、MexicoのTijuanaショップがフル稼働状態となる。1日7本のペースで計算上は年間1680本。これらの累積として10500~11000本程度のVintage Richが製造されたことになる。

また、当時これらのB.C.Rich Guitarsは、Hollywood Music Store(Fairfox Avenue / Melrose Avenue in Los Angeles)に多く卸された。オーナーはHiro Misawa氏、日系なのか、日本人なのかは確認していないがおそらく日本人であろう。この東京支店が湯島にあったのは有名な話である。日本には初期のレアモデルが想像以上に多く存在しているが、その理由はHiro Misawa氏の目にとまったNealのSpecial回路仕様が追加オーダーされ、そのまま湯島で販売されたからである。


Vintage B.C.Rich Maniacs!
http://bcrich.net