特徴当時のB.C.Richはその構造故手作業の工程がかなりあった。そのため、様々なバリエーションが存在する。パーツの取り付け位 置、色、ネックの握り、仕込み角、ボディ材の取り方等一本一本微妙に異なっている。カスタムも存在するため、基本的にはなんでもありである。ボディ以外は他社製部品を使用しているため、標準的な構成から外れているものも多数ある。 ペグ & ヘッドペグにはグローバーの109が通常搭載されているが、普通 の102が搭載されているものもある。また、シャーラーのものもある。SeagullにはOld のインペリアル(150)が搭載されいている。トラスロッドカバーは83シリアル半ば以降で金属製に変更されている。78年頃のトラスロッドカバーにはネジが1本のものも存在する。ヘッドが2ピースになっているもの(上側がスカーフジョイントされているもの)はボディーストライプ幅がワイドのものが殆どである。ストライプ間隔が狭いものはヘッドのサイドに継木がしてあるものが殆どである。Bichのボディ側のストリングガイドは初期のものはネジ、83位 までが白い樹脂、ブリッジが自社製に変更されてからはなし、と変遷している。 初期のもの(82からはじまるシリアル位 まで)のRロゴはそれ以降のものと異なり左側の真中に突起がでている。ただし、81でも突起がないものもある。
ピックアップピックアップにはディマジオの4芯シールド化されたSuper Distortion(Dual Sound) がリア、フロントには同じく4芯シールド化されたPAFが搭載されたものが標準であるが、ごく初期のモデルにビルローレンス、HI-Aを搭載したものも存在する。 色はクリームが標準であるが、黒のものもある。エスカッションはブラスのものもある。 最初のSeagullにはGibson製のピックアップが搭載されていたが、後にギルド製のピックアップが標準になった。これらも4芯シールド改造されていた。ギルドは専用エスカッションになっており3穴調整タイプ、幅広で他社製と互換性がない。 ブリッジブリッジはバダスのバーテールピースブリッジのリプレイスメント用ブリッジが標準で搭載されていた。テールピースと一体化しており、オクターブ調整も可能であるがテンションは調整できない。83から始まるシリアルの後半からバダスではなく自社製のQuad Maticに変更されている。 出荷時からシャーラー、ケーラーがついているものも確認されている。 Quad MaticはBernie Ricoのデザインで、初期のブラスものはケーラーU.S.A製であったが、後に日本製(クロームメッキのもの)に変更されここでインチ規格からミリ規格に変更されている。 回路電気系回路は基本的にマスターボリューム、マスタートーン、ブースターボリューム、ブースタースイッチ、フェイズスイッチ、フロントシリーズパラレル切り替えスイッチ、リアシリーズパラレル切り替えスイッチ、バリトーンスイッチからなる。Bichには更にフロントボリューム、ブースタースイッチ2が追加される。77xxxシリアルくらいまではフロント、リアのシリーズパラレル切り替えではなく、一つのスイッチでフロント、リアのシングルコイルへの切り替えスイッチになっている(スイッチが一つ少ない)。国産コピーもアリアのものはこの年代をコピーしている。この古い年代のものはスイッチの頭が赤い。バリトーンスイッチはLCフィルターである。一つずらすとブースターオフの状態ではワウの半踏み状態のような音色になり、マイケルシェンカーの音色を真似するにはちょうど良い。ブースターオンでは全然違う音色になる。フロントピックアップでのこの音色は山本恭司のMarsで聴くことができる。フェイズスイッチはピックアップセレクタがセンターでのみ作用する。ブライアン・メイのような音色が作れる。
ネック握りは全部ばらばらである。太めのものもあれば細めのものもある。古い年代のものは仕込み角が深い傾向にあるようである。83のシリアルよりも81、82のシリアルの方が明らかに深い。一本のギターで全体を判断しないようにしたい。フィンガーボードはBichはローズ。Eagle, Mockingbirdはポジションマークひし形がローズでスタンダードモデル、雲形はエボニーでSupremeに採用されている。Bichは基本的に雲形だが初期モデルはひし形。フィンガーボードとボディの間には別 の木材が接着されている。
ボディ材の取り方一般的なモデルでは5ピースの構成になっているボディであるが、ストライプの位 置がエスカッションの外にあるものが81~83のシリアルには多い。このストライプ間が長いことはネックからボディエンドまでの木材をより多く使い、貼りあわせるウィング部の木材を減らしていることになる。好き嫌いはあると思うが視覚上は現行品のストライプ間隔が狭いものよりも広い方が格好良い。組み合わせはコア、メイプル、コア、メイプル、コアの5ピースが個人的にはベストである。また、最近のモデルのようにトップをラミネートしてはいない。全て単板削り出しである。メイプル5ピースのストライプ素材はウォルナットと思われる。 初期のBichにはボディエンドの先端にゴム足のようなものが取り付けられていた。これはボディを塗装後に先端を斜めにカットされてとりつけられている。立て掛ける際の保持具として想定されており、塗装面 をカットすることによりゴムとの化学変化を避けている。
塗装B.C.Richの塗料は化学者Mike Woltによって専用に調合されたDura Richというものが'77年から'85年まで使用されている。それ以前はFuller Paint Company製のFullerplastを使用した工程が用いられていたようである。
|