File Number 123 Eagle Special 76236

約一年ぶりの更新となるVintage File。沈黙を破り登場した今回の個体は、Eagle Specialの中でも一本のみの特別仕様と思われるスペシャルスペシャルである。

1976年。ピンクレディーがデビューしたその年、B.C.Richでも大きな変化を迎えた年である。1975年までは、エレクトリックではSeagullのみのラインナップだったB.C.Richが様々な試行錯誤を繰り返しながらニューモデルを投入した年である。新しいボディシェイプ、インレイ、5ピースボディ、エキゾチックウッドの採用、スペシャルエレクトロニクス。5桁のシリアルが採用されたのも1976年からである。ニューモデルとしては、Seagull2、Eagle、Mockingbird。更に、Seagullではダブルネックや建国記念モデルと、節目としてのSeagull集大成もこの年である。

最もB.C.Richの歴史でエキサイティングだったのが1976年と言っても過言ではないだろう。それは当時のフェンダーやギブソンの合理化生産による低品質化とは対照的な高品質ハンドメイドギターの勢いであった。試行錯誤の中でのワンオフモデルも多数存在する。1978年頃までのカタログに載っている個体でも実際は1976年製のものが多く、また、その特殊さ故、カタログに掲載されていても市場には殆ど出回っていないのである。SeagullのピックガードがついたEagleや、スペシャルでも回路バリエーションで二種類。5ピースコアのSeagull2は三本のみ製造、とまだまだ知らない個体が埋もれているのである。

この個体は、1978年のミュージックストア広告に掲載された個体そのものである。当時高価だったB.C.Richはそんなに回転が早いはずがなく、製造後二年経って日本の店頭に並んだのである。76年頃はこの湯島にあったミュージックストアから多数のレアなB.C.Richが販売されていた。

クラウドインレイも1976年から採用されている。エボニーにバインディングという仕様標準的なSeagullで採用されていたもの。77年まではSupremeでもヘッドにバインディングは入っていない。

76236というシリアルからも、極初期のEagleである。黒いエスカッション、まだPAFは採用されていない。コントロールは、マスターボリューム、フロントピックアップオンオフ、リアピックアップオンオフ、ブースターオンオフ、フロントピックアップシリーズパラレル、リアピックアップシリーズパラレル、バリトーンオンオフのミニスイッチ類、各ピックアップのボリューム、トーン、ブースターボリューム、バリトーンという仕様。この個体はレスポールのようにT.O.M+ストップテールピース仕様に改造されていたが、リペアにて復元され、修理後は写真でもわからない程である。シリパラはセンター時に両方のピックアップ共シリーズ同士、パラレル同士でないとフェイズアウトされる。

Rロゴの形が今までのものと少し違っている。

バダスは後年のもの。その他いくつかのポット以外はオリジナルのようである。

 

 

ストラップボタンもまだノンロックである。取り付け位置は同時期の個体5ピースのシーガル2と同じように、ウイング側面に斜めから固定されている。

 

 

150のペグは76年以降みかけなくなる。

 

 

バックパネルはスペシャル特有のラージタイプ。

エスカッションはフロント用が二個。個体差の多い仕込み角とネックの太さであるが、76年は比較的太めのものが多いようである。職人の癖によるところが大きいかもしれない。

撮影機材:Canon EOS 5D / EF50 F1.4

河口湖畔 勝山村 道の駅にて 2005/Dec/28

 


Vintage B.C.Rich Maniacs!
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