ついに三年越しに探し続けていたダブルネックビッチを入手することに成功した。最近はeBayでも近年ものであればたまに見かけるようにはなったが、Vintageになると皆無であった。店頭でも三年前にNYの楽器店で$4500で出ていたのが最後であったが、状態はいまいちであった。今回入手したものは目立つ傷は一切ないウルトラミントコンディションである。ブラスパーツに若干くすみはあるが、Quadmaticのストックは所有しているのでいつでも交換できる。 ダブルネックビッチがカタログに登場したのは80年からであるが、製造は79年から行われていた。この個体は81年夏頃の製造なので、初期のものと比べると仕様変更が見られる。ウォルナットのラインは細いまま平行を保っており、随所にブラスパーツが多用されている。ノブは黒い金属製であったが新品のVintage ノブに交換した。 Vintage Guitar Magazineによると、あの記事が書かれた時点でダブルネックは35本程度しか製造されていなかったようなので、これもその中の一本である。オールメープルのダブルネックはスラッシュが所有していることでも有名である。80年代中期以降の白いダブルネックはスティーブヴァイも所有している。 ダブルネックとその重厚なツアーケースの総重量は25kg、さらに大きさも半端ではないため、発送はヤマト便もEMSも断られてしまい、日通のペリカン便で発送されることになった。送料と税関での消費税だけで数万円が消えてしまった。 当時のUSでの定価は$3000。1ドル=220円前後の時代であり、日本での定価は120万だった。現在国内ではVintage の流通がないので、その相場は不明である。が、安くはないことは容易に想像できる。言値で決まる世界だろう。ちなみに近年ものの定価は$8200 + case $450である。次に市場に登場するのはいつだろうか。 |
ツアーケースは純正で用意されていたと思われる落とし込みのインテリア。A&S製である。12弦側のウイングにはトラがでているが、6弦側には写真ではわかりにくいがブリスター状のバーズアイっぽい杢がでている。 回路は、6弦側は通常のビッチと同様。12弦側はイーグル、モッキンの回路からトーンを省いたものであるが、なぜかフェイズだけイン、アウトが逆になっている。そして12/6切り替え用トグルスイッチ。センターで両方オンになる。近年ものは12弦側の回路が大分省略されている。 |
エスカッションは四つともブラス。 ブリッジはQuadmaticであるが、12弦側は副弦用に穴が空いている特別仕様。10弦ビッチも10弦用に穴があいているが、12弦仕様はこれ専用であろう。バダスに交換したいところだが、12弦側にネジを取り付ける気はおきない。。 |
ロッドカバーもブラス製。Rロゴは太いタイプで突起なし。 |
12弦側のナット部分が肉眼だと指板がネックに食い込んでいるように見えたのだが、写真だと塗料がのっているように見える。反対側は普通にまっすぐ。 |
ヒール部分が普通のビッチと違い、強度を考慮して盛り上がっている。ネックの付け根付近にはトラがでている。ストラップロックの位置はネックの延長上にある。たってまともに弾けるように長さを調整すると、ストラップは極端に短くしないと手が届かない。またホーン側のストラップロックが胸にあたって痛い。 |
シリアルは6弦側に打ってある。 |
12弦側にはMADE IN U.S.Aの刻印。ブラスパーツにゴールドカラーを多用しているのに、なぜかペグやストラップロック、ネジ類はクロームカラーである。このごちゃ混ぜ感もこの年代の特徴。 |
別角度からのヒール部。カットが浅いのがわかる。 |
片側六連に並んだ109C。 三本分のぐりぐり109は壮観である。 |
ゴム足部分のカットは無塗装。 |
電池が三個入ったキャビティ。さすがにこれだけ広いと全部つなげて中空にはしていない。 |
ピックアップは通常の組み合わせと同じ。 |
ケースのロゴ。 |