File Number 144 B-30 603501(Wannyさん提供)

今回紹介する個体は、素晴らしいアコースティックの逸品、B-30である。元々はアコースティックから始まったB.C.Richであり、60's後期から70's前半まではクラシックギターも作る一方、Martinに対抗すべく、D-45の対抗馬B-45を筆頭に、B-38, B-30, B-28, B-20と言ったラインナップを持っていた。最上位のB-45はインレイワークが素晴らしく、サイド、バックにハカランダを使用しており、今でも100万円近い額で取引されている。B-38はインレイが省略されているがこれもハカランダのサイド、バック、スプルーストップ。下位のB-28は管理者所有のものがVintage Fileに掲載してあるが、こちらはサイド、バックともインディアンローズウッド(ブリッジはハカランダ)、B-20はサイド、バックはマホガニー仕様となっている。いずれもネックはマホガ二−、フィンガーボードはエボニー、トップはスプルースである。

そして、この個体、B-30は唯一サイド、バックにフィギュアドメープルが採用されている。今回、Wannyさんがファーストオーナーということで、当時(78~79年購入)の購入価格を教えて頂いたところ、定価52万円、25%オフということだったそうである。イーグルやモッキンバードよりも高価だったのだ。中級機でこの価格設定だったことから、如何にB.C.RichのアコースティックがMartinを意識した高級機だったかが伺える。

実はこの個体、このカタログに掲載されているそのものだった。ピックガードの模様を比べるとすぐにわかる。

今回非常に興味深かったのが、このヘッドストックにバインディング仕様で76年製ということである。75年までのヘッドストックはエレクトリックとは違う直線的なシェイプだったが、76年のアコースティックでは思想が大幅に変わったように思われる。ペグに150Gを採用していることからも高級であることがわかる。

そして、更に興味深いのがこのシリアルである。76年には完全に5桁になって76001から始まったはずが、明らかに76年製の6桁シリアルが存在したのである。このシリアルは76年3月製であることを示している。ラベルの下にシリアルのラベルが貼られているのも興味深い。それ以前の年代のものはネックポケットに鉛筆で手書きされていた。

スノーフレークインレイはアコースティック、シーガルを踏襲している。さりげなくロープバインディングが施されている。

パッと見シーガルだが、ボリュートが独特である。B-28はフラットになっている。

そして76年にしてこのゴージャスなキルトのメープルバック。素晴らしい。

サイドはこれも贅沢なカーリーメープル。4A以上の杢である。

ブリッジはおそらくハカランダ、駒の頭にはアバロンで装飾が施されている。トップはスプルース。

Vintage B.C.Rich Maniacs!
http://bcrich.net