今回紹介するのは、78〜9年製のメープルロングホーンである。最大の特徴はダイヤインレイなのにエボニー指板という仕様である。カタログには掲載されていない組み合わせであるが、実際に出荷されている個体は意外に多いようである。わずか100番程度しかシリアルが離れていないFile Number6の私の所有するメープルのモッキンバードとはボディシェイプや材のとりかた等全然異なっている点が興味深い。つまり、カッタウェイの形状やセンター材の取り方は年代によるものではなく、職人の癖や個体差によるものなのである。毎回ながら、これほどまでに年代と相関がない個体差の大きさには感心させられる。 エボニーにドットの組み合わせは未だに遭遇していない。 |
写真のクオリティの高さと相まってとても状態が良さそうに見える。ヒールの形状には大きな個体差はない。ヘッドは2-5弦のペグ上部で継がれている。 |
センター材がかなり広く取られている。Number 6はバックパネルがストライプにかからない。80年代になるとキルトが多用されるメープルであるが、70年代のものはプレーン材が圧倒的に多い。 |
ネックの形状も個体差が大きい。これは比較的幅広のようである。76年くらいまでは丸太のように太いものが多かった。 |
ジャックプレートは交換されているが、他のパーツは王道の組み合わせ。 |
エンドピンの位置はウイング寄りである。 |
残念ながらエンドピンのネジがもげて埋まっている。何度か位置が変更されている。 |
アッパー側も同様。 |
エボニー指板が確認できる。仕込み角は浅め。 |
目の詰まった良質のエボニーが採用されている。指板材としては最上級であろう。 |
突起なしのRロゴ。これも年代とは無関係に突起のありなしが混在する。 |
刻印は薄めのシリアル。 |
スモールヘッドのバダス。 |
なぜかベースプレートのネジ部分が三角形に折り曲げられている。更にネジが切断されている。エスカッションにDIMARZIO U.S.A の刻印が確認できる。 |
フロントピックアップのキャビティ内にサインがある。TKのようである。 |
さらに壁面にはLBHと読めるボールペンのようなサインも。 |
回路はフルオリジナルのようである。ローズとの境目が確認できる。 |
スイッチクラフトのトグルスイッチ。 |
File Number 62のコアモッキンとの比較。バリトーンのコイルの色が異なる。 |
ブースター基板も年代によって微妙に異なっている。 |
抵抗の位置が異なっている。 |
Number 62はあきらかにスイッチの頭が短いことが確認できる。 |
今回の個体は長いタイプ。この長いタイプは比較的初期に多い。 |
なんとバックパネルまで形状が異なっていた。これには今まで気付かなかった。 |