File Number 54 Seagull2 76180

あのSeagull2は私のもとに

さて、今回紹介するのはあの売却希望物件だった76年製Seagull2である。いろいろあって管理者の私がお譲り頂くことになった。細かい部分を見れば見る程謎の多いB.C.Rich。今回初めて詳細を報告できたこともあるので細部を見て行くことにしよう。

オプション仕様だったジュラルミン製フライトケース。家に持ち帰った直後であったためまだQuadmaticがついている。

Pickupはディマジオ製であるが、Super Distortionではなく、更にターン数の多いもの。型名不明。

ピックアップキャビティ。

DiMarzio Pickupの刻印のみで型名は刻印されていない。

エンドピンはロック式ではない。取り付け位置に注目。

コントロールは76年の標準的仕様。

なぜかピックアップキャビティがエスカッションに隠れていない!ピックガードがついているため隠れると思って加工精度を下げたのか?それとももともとシーガルにはギルドのピックアップがついていたため、それのエスカッションサイズに合わせて加工してしまったためなのか?謎である。。。

謎その2。杢目に逆らって割れているような模様。これはGibsonには良く見られるものでシーズニングの途中で材が割れてしまったためそれを補修したもののようである。本来は塗りつぶし塗装に使われるタイプであるが、ナチュラルフィニッシュに使用されているのは初めてみた。

ホーンのアップ。

シュープリーム仕様であるため、クラウドインレイ、エボニー指板。バインディングもドットマークがノーマルタイプと異なる。

バックの画像。ヒール形状はイーグルに近い。

ペグが150Cのためヘッド表はブッシュが押し込まれている。

ジャックプレートはオリジナル。

木部の補修はヘッド裏にもある。

コントロールキャビティ。

フェイズのミニスイッチ配線アップであるが、ハンダの痕があるため配線が変更されているのがわかる。リアのピックアップ内部でフェイズイン、アウトになるように配線されていた。

イーグルと重ねると違いが面白い。以下、売却希望時の内容。

三枚の写真が語る真実

今回のVintage Fileは、suwaさんからの売却希望物件である。このような個体が存在していたとは管理者としても吃驚のウルトラレアギターであり、様々な謎と真実がこの三枚の写 真から垣間見れる。売却希望価格は48万円。ちなみにこれは当時の購入価格。これを高いとみるか、妥当とみるか、安いとみるかは各自の判断にお任せしたい。

Seagull2とは、Seagullが製造中止になった後にごく短期間製造されたモデルである。おそらく75年から76年にかけての半年位 であろう。シーガルの左ウイングの角が胸に当たって痛い、という苦情からデザイン変更を強いられたのだ。今で言うPL法にでもあたるのだろうか、製造物責任とかいうやつで、これで怪我でもしたら訴えられてしまうのだ。そしてSeagull2の登場になるのだが、いつしか左ウイングがのびてEagleになってしまった。初期のSeagull2はマホガニーボディでハードウェアの仕様もボディデザイン以外はSeagullと同じであった。

そして問題のこの個体である。この個体は3本のみ製造されたうちの1本で、日本に存在するのはこれだけである、と当時の湯島にあったミュージックストアで説明されたもの。5ピースコアであり、今まさにイーグルになる、と言わんばかりである。既にハードウェアの仕様は全てイーグルである。管理者所有のSeagullは78年の再生産イーグル仕様であるが、これは本物、これからイーグルになる直前なのである。ブリッジはQuadmaticに交換されている。Supreme Inlayのエボニー指板にはバインディングが施されているがヘッドには施されていないのは76位 までの仕様。ピックアップは黒のエスカッションにSuper Distortion x2のように見えるがもっとターン数の多いモデルとのこと(型名不明)。ピックガードの付いたコアボディもカタログの一部に謎のギターとして登場していたが、今回この個体をみたことにより、まさにこれがカタログに載っていたギターであることがわかる。ロッドカバーがブラスのようにみえるが樹脂製である。

 

初めてみるSeagull2のヒール。絶妙なシェイプである。ペグはオールドインペリアル。76年初期まではこのペグが主流であった。

 

正真正銘!76年製を表すシリアル。さて、ここで菱井理知さんのEagle Specialが欲しくて欲しくてたまらなかった懸命なdigimart読者であれば記憶にあると思うが、あのEagle Specialは売主曰く、最初のコアイーグルとアメリカの楽器店員に言われた(話半分で)とのことだったがあのシリアルが76340、このシリアルが76280。 Seagull2はEagleに変わったため少なくともこの76280以前のEagleは存在しないことになる。その差は60本だから、あながち嘘でもないかもしれない。

こんなウルトラレアギターが当時湯島のミュージックストアには山のようにあったのだ!みんなどこに行ってしまったのだろうか?とにかく、このギターは日本に一本のみ。早い者勝ちである。成約の折りにはさらなる詳細写 真を管理者まで送って頂きたい。

 


Vintage B.C.Rich Maniacs!
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