File Number 161 Seagull Bicentennial New York / Georgia

 

祝サイト開設10周年! 二本の建国記念シーガルが遂に来たる!

当サイトが開設されて今年で10周年である。10年一昔。まさにそのような心境で、この10年間紆余曲折ありながら、一段落したような肩の力が抜けた状態である。思えばB.C.Richを取り巻く環境もこの10年で大きく様変わりして、情報が全然出て来なかった当時と比べて、ある程度正しく世間的にも(と言ってもニッチな世界だが)認識されているようで、このサイトが果たした役割も大きかったと自負している。

そしてこの10年間で、どうしても入手することができなかった、当サイトのロゴマークにもなっている建国記念シーガルをこの10周年という節目の年についに入手することができた。しかも2本も。今までの自分であれば、普通に車が買えてしまうような高額なこのギターを購入することはなかっただろう。

このギターのレア度は群を抜いているが、限定13本や派手なインレイよりも特筆すべきは、指板以外全てブラジリアンローズウッド(ハカランダ)で作られていることである。しかもスルーネックでブラジリアンローズウッドというのはこのギター以外存在しないのではないだろうか。ブラジリアンローズウッドはワシントン条約の対象品で、現在原木の状態での輸出入は一切禁止されており、加工された製品も輸出国、輸入国それぞれの政府の許可証がないと輸出入できない。ワールドツアーを行うようなプロミュージシャンはブラジリアンローズウッドのギターは実質ツアーで使用できないことになる。

ブラジリアンローズウッドは非常に重いため、PRSではチャンバー構造により軽量化を図っているようである。シーガルはボディが薄いため、完全なソリッド構造でもある程度重量は抑えられているがそれでも重い。

ギルドのピックアップはディマジオに比べ低出力のため、サウンドキャラクターは両者異なるが、材の持つ独特の倍音とロングサステインは共通である。

1976年発売当時の記事によると、定価は198万円。今の物価で考えると500〜600万円程であろうか。当時の大卒初任給は8万円程だったようである。

1976年の国産車新車価格
カローラ1200 :68万円
クラウン2600Sサルーン: 190万円
センチュリー:380万円 (2010年現在の新車価格は1144万円)

'建国記念シーガルとは、1976年にアメリカが建国200年を迎え、それを記念して作成されたもの。建国当時の13州を意味する13の星と13の各州がインレイされており、各州1本づつ計13本の限定物。New Hampshire・ Massachusetts・Connecticut・Rhode Island・New York ・New Jersey・ Pennsylvania・ Delaware・ Virginia ・Maryland・ North Carolina・ South Carolina・ Georgia がある。

当時のカタログに掲載されていたのは、コネチカット。

上のカタログや雑誌記事の個体もそうだが、ストラップピンが装着されていないものが存在する。ニューヨークはストラップピンがなく、ピックアップはディマジオがオリジナルで装着されている。

一方ジョージアはストラップピンもあり、ピックアップはギルド製がオリジナルで装着されている。

ゴールドパーツが多用されている。回路はオリジナルのシングルコイル切り替えタイプのフルエレクトロニクスサーキット。

同じゴールドでも、バダスのメッキの状態が異なっているようでくすみ具合が違う。ジョージアもニューヨークもブラジリアン独特の木目を持っている。

光のあたり具合で色味がかなり違う。

ジョージアのバック。バックパネルはブラス製。保管状態はかなり良かったが、どうしても金属はくすんでしまう。

ニューヨークも同様の仕様。

ジャックプレートもブラス製

ニューヨークのヘッドにはウッドバインディングのような色合いになっている。

ジョージアは。縁取りなし。両者ともロッドカバーはブラス。

通常よりも下にヘッドの継ぎ目がある。ブラジリアンの丸太でボディエンドからヘッド尖端までとれる材を確保するのは困難だったのであろう。ペグは150G インペリアル。ヘッド裏にシリアルはない。

ニューヨークも同様の仕様。

比べるとジョージアはかなり色が薄い。


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